紅にほふ (1) (中公文庫―コミック版) 価格: 720円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 祖母や祖父や、あるいは母や父に細かくはもうきくことの出来なくなってしまっている戦前の物語(それも満州での)を竹宮惠子は見事に描いてくれた。 作者が子供のころから細切れにきいていた母の育った満州での暮らしと戦争を、史料や母の記憶から再構成して語り直されている。物語は母の娘の視点から語られており、途中にその娘と母たちの現代のシーンが挿入されて、重層的な語り口となっている。 特に、今はもうその制度すらなくなってしまった芸妓の生活が描かれているのは珍しい。しかも満州である。戦後なかなか引き上げることが出来ずに、そして引き上げてきてからも初めての日本でしかも一文無しの状態で暮らさねばなら |
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